2009年12月21日月曜日

国の自殺対策関連予算の縮減に反対する

11月12日に開催された行政刷新会議の事業仕分けにおいて、
内閣府の普及・啓発等
(青少年育成の推進、食育の推進、少子化社会対策の推進、高齢社会対策の推進、バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進、障害者施策の推進、交通安全対策の推進、犯罪被害者等施策の推進、自殺総合対策の推進)
が仕分け事業の対象になった。

概算要求は13億円。内閣府は「政府としての輪郭を示す上で最低限必要な事業だ」と主張。仕分け人からは「フォーラムを行うことが目的化している」「他省庁が主体のものは統合すべきだ」などの意見が出た。廃止論も飛び出したが、3分の1程度縮減と結論づけられた。

早速、自殺総合対策に取組んでいる地方議員有志の会(地域の自殺対策を推進する地方議員有志の会)(私は賛助会員)で、縮減に反対する行動を起こすことになった。
他の普及啓発事業と違い、自殺対策は緒に就いたばかりである。まだスタートラインに立ったばかりであるし、これから大量に国民へのアピールが必要だと言うのに十把一絡にされて縮減されてはたまらない。

12月18日(金)、
担当大臣の福島みずほさん、副大臣の大島敦さんに面会がかなうことになり、
要望書を携え、有志の会数名で内閣府へ行く。
13時 緊張のなか作戦会議が始まる(霞ヶ関ビル前でのカット)。


14時20分過ぎ内閣府担当大臣室へ。
川口洋一代表(大阪府高槻市議会議員)が要望書を読み上げ大臣に手渡す。


すると、「自殺対策関連予算は死守します」との大臣からのお言葉。

大臣はこちらの話に丁寧に耳を傾けられ、メモを取り、必要な箇所は秘書に確認しながら回答される。私は当初、あまりにたくさんの分野を担当されている大臣だし、こちらの話を聞いても「それは大事なことですね、善処します」というような役人答弁に終始するのではないかと不安だった。しかし、福島大臣は違った。自殺対策を語るときに「自殺は身勝手な死ではなく、追いつめられた末の死、自殺は防ぐことの出来る死、いますぐ手をうたなければならないこと」という考えが根底にあるかないか、話をすすめていくうちにわかるものだ。本気で自殺対策に取組むという大臣の意気込みが伝わってきた。

どう伝えれば私たちの思いが正確に伝わるのか、
ただの予算削減反対陳情団ではないということをどうしたら伝えられるのか、そのような不安は一気に払拭された。

最後にひとことずつしゃべる場面があり、なんてしゃべったのか覚えていないが、
いま、この瞬間、福島さんが自殺対策の担当であることがとてもうれしいし、応援していく
というようなことを言った気がする。



部屋を出たあと、私たちの口々からついて出た言葉は、
「これが政権交代か」  実感がこもっていた。

16時から大島副大臣にもお目にかかった。



福島大臣と自殺対策についてまったく同じ考えかたの方であり、ここでも多くを語らずともご理解くださっていた。人として尊敬できるあたたかい方であった。



せっかくなので議員会館にも寄り、阿部知子社民党政策審議会長とも数分お話できた。
阿部さんとはもう少し、具体的な自殺対策の中身について議論したいと思った。彼女は医者の立場もあるし、医療現場の立場からの提言もある。
必ずしもすべての立場の人々が、自殺対策の何に重きをおくべきか、同じ主張であるとは限らない。私は自分の考えを決めるときには、より自分と違う立ち位置にいる方の意見を多く聞き、論破できるか考え、自分の意見を確固たるものにしていきたいと思っている。そのためにも色々な方から意見が聞けることにまず感謝したい。

冒頭にも書いたように、自殺対策はまだ手探りで緒に就いたばかりだと思う。
何が正しく何が即効性があるかなど、まだわからない。
しかし手をこまねいている暇などない。
出来るところから、やれることから、片っ端から、やっていくしかない。

今日この日のセッティングに多くの時間を費やしてくださった仲間たち、そして面会くださった方々に心からお礼申し上げます。この出会いに感謝します。

2009年12月14日月曜日

EARTH,WIND&FIRE JAPAN TOUR 2009 なんとか踊れた!

モーリス・ホワイトは居ないけれど、行ってきました念願のEARTH,WIND&FIRE JAPAN TOUR 2009 東京公演!!!2009,12,12

プロフィールを見ていただいておわかりのように、
私はアースばかり毎日聴いていても少しも飽きない人である。

チケットを予約したのはいつだったか、足をケガする前だったことは確か。
全治1ヶ月と言われたので、完治していると思っていたのに、まだ湿布は外れず。
しかーし。私がこんなことでめげるはずは無い。
たとえ松葉杖ついてでも行きますよ!
とにかく今回は行かないと絶対後悔する、
なんとしてでも行くと決めていた。
心配なのはお席。東京国際フォーラム ホールAの座席表で自分の座席番号を見て唖然。
これはエピック・ソニー時代に仕事で行ったコンサートよりひどい場所じゃあありませんか?
うしろの端っこなんだもの。
双眼鏡じゃなくて望遠鏡が必要だよなあ。

さて、当日。
3時間以上前に到着しているのだから、買い物したり、銀ブラしたり、
ふつうはするのでしょうが、もう心はアースに飛んでいて、何を見てもまったく心は動かない。ライブが終わってからのおたのしみとしましょう。

17時会場入り。
まだ人はまばら。やっぱり40代から50代が多いですね。
もうちょっとおしゃれな人が多いかと思ったら、普段着の方も多くてびっくり。


18時を少しまわったところでオープニングの「Boogie Wonderland」で、総立ち!!!!!
前の座席にすわっていらした割と控えめの女性が、見かけとは大違い、豹変したのにも大びっくり。オーバーアクションで踊りだす。

足をかばいながら、それでもなんとか2時間弱、私も踊れて良かった♡。

ライブの模様はこの方のブログがとても参考になると思います。→アース・ウインド&ファイアー・ライヴ~普遍的ソウル・バンドの魅力

で、私の感想をひとことで表すと、

『楽しくて哀しかった。』

モーリスが居ないのは、私の中でのアースでは「あり得ない」ということを再認識してしまったということだろう。
それから、フィリップ・ベイリーの声量が、一定ではなかったこと。こんなこと、あたりまえのことなのに、認められない私を責めてしまうのが哀しい。
すばらしかったんだよ、生でハイトーンも聴けたんだよ、なのに哀しいなんて、さびしい。
たぶん、まだ私は「タイムスリップさせてもらった、ありがとう!」
という気分ではないのだろう。
いま、この瞬間も、私の中ではアースはあの時代のままなのだ。
そんなことはあり得ないと頭でわかっていても、心で理解できるまでまだ時間がかかりそうだ。
大人になるっていうのは難しいな。

来年秋にアース結成40周年を記念して、ライブが企画されているらしい。
モーリスも参加するとか。
見たいような見たくないような複雑な気持ち。
来年までに、私は大人になれるだろうか、なれているだろうか。


丸ビル前通りのきれいなイルミネーション。

私の趣味に付き合ってくれたレツ、ほんとうにありがとう!

2009年11月24日火曜日

「がん」半分自分で半分エイリアン。

11月23日(月祝)

勤労感謝の日であり、私たち夫婦の結婚記念日でもある。
家族の誕生日と私は呼んでいる。

その日の夜に、NHKスペシャル『立花隆がんの謎に挑む』を観た。

私の頭にいつもこびりついて離れない怪物『がん』。

この日、この番組を観て、つくづく思った。
「がん」は怪物なんかじゃない。
「がん」はそのひとの細胞であり、そのひとそのもの。
死に至らしめる細胞であっても、免疫細胞はそうとは認識していないらしい。

ここ数年、「がん」について考えさせられる機会がどんどん増えてくる。
その都度、「がん」とは何かと考えさせられる。

私が「がん」だと告知を受けた場合、どうするか、私はだいたい決めている。
こういう場合はこうする、こういう場合にならこうすると。
それはきっと、「がん」でこの世を去った父の最期を看取ることが出来たから。
そのときの心残りがいくつもあるからだろう。
しかし、自分の愛する人が「がん」になったとき、
自分はどう話すのだろうか、話せるだろうか。

幸い、この日は夫婦でこの番組を観ることができた。
結婚記念日にふさわしい番組だったかどうかはわからないが、
お互い緩和ケアしようという話になったことは良かったと言える。

立花隆さんの締めの言葉をここに残し、
機会あるごとに噛み締めたい。

『ひとは死ぬ直前まで生きる力を持っている、だから死ぬまでしっかり生きよう』

2009年11月11日水曜日

行政刷新会議WG 事業仕分け 初日 「下水道事業」の結果

11月11日(水)

朝から雨。
自宅で、抱えている仕事をしながら、
行政刷新会議ワーキンググループの事業仕分けをインターネット中継で見ている。
ライブ中継のURLはこちら

ライブ中継をつけると、下水道の話をしている。
そうか、今日は下水道事業もやるのか。

たったいま、仕分けが終わった。

廃止→ひとり
自治体に任せる→7人
縮減→5人

このグループでは「財源を移し、自治体に任せる」という結果になった。

議論を聞いていて、いつもと変わらない事業仕分けの風景だなと思った。
国土交通省の役人は、国の直轄事業には適さないと言いながら、権限は譲らない、このままで良いと言っている。それに対して、自治体の下水道事業の実態を把握している仕分け人から、自治体が、がんじがらめになって身動きが取れないのは(自治体に合った方法を取れない、計画立案から合併浄化槽を選ぶか下水道にするかなどに至るまで)補助金交付金という縛りがあるからだとの指摘。

そのとおり!!!!!

この仕分け作業に財務省主計局の役人が同席して質問に答えているのは、とてもいい。
(これまでの仕分けでは、担当省庁の役人しか答弁しなかった)
大磯町の予算決算の審議にも、ちゃんと財政課職員が同席して質問に答えるようになった。
(議会がそうしたのだ、手前味噌だが大磯町は先進的だ)
あたりまえのことが、ようやくあたりまえになって来た気がする。

ひとりの女性委員(仕分け人)に役人が「先生」と呼びかけたら、「先生はやめてください!」と言われた。そのとおり。先生と褒め上げおだてる手をやめさせるべきだ。

2009年11月10日火曜日

国の事業仕分け 果たして予算に反映できるか?

「すったもんだの末に始まる事業仕分け」が明日から始まるらしい。

構想日本からご案内のメールが届いたので、
ここに転載します。

今日の毎日新聞に仕分け対象事業が載っていた。

ほほーっ、環境省では「循環型社会形成推進交付金」が俎上にのった。
これは以前、自民党がやった事業仕分けのときに、「地方に権限委譲」という結果になったものの、何も変わらなかった交付金である。(そのときのブログはこちら
私はもちろん地方に権限委譲すべきだと思っているが、
もう今週にもごみ焼却施設を建設する事業者が(優先交渉権者という名称であるが)決まるという時期に来てしまっていて、それなのに、これが来年度から地方に権限委譲するというふうになるとは信じ難い。
マスコミにさっぱり取り上げられない事業であるが、私はしっかり追いかけていこうと思う。

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                 国の事業仕分けのご案内

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 既に広く報道されていますが、構想日本が行ってきた事業仕分けが、政府の
行政刷新会議に取り入れられました。刷新会議の事務局長に構想日本代表
加藤が就任し、国の約450事業の仕分けが、3つのワーキンググループで約80人の
「仕分け人」によって行われます。

 事業仕分けの原則どおり、一般公開ですので、国の主な事業に関する議論を
是非傍聴してください。日本の大掃除、ここから日本が変わる、という時、所に
お立ち会いください。

                  ≪開催概要≫


【開催日】 2009年11月11日(水)、12日(木)、13(金)、
                16日(月)、17日(火) <以上第一弾

       2009年11月24日(火)、25日(水)、26日(木)、
                 27日(金) <以上第二弾>

【時間】   9:30〜18:30(予定)
        ※事前の登録は不要で入退室自由。
          ※入室時にセキュリティチェックが行われますので、
           身分証明書等本人の確認ができるものを持参してください。

【開催場所】  独立行政法人国立印刷局市ヶ谷センター
          東京都新宿区市谷本村町9−5
          ※駐車場はありませんので、公共交通機関をご利用下さい。
          http://www.npb.go.jp/ja/guide/soshiki/ichigaya/index.html


 ○詳しくは、内閣府行政刷新会議事務局ホームページをご覧ください。
  http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/wk-grp.html

2009年11月9日月曜日

平成21年度行政書士試験受験記

11月8日(日)

これで何度目かもう忘れてしまったけれど、タイトルの試験を受けてきた。

神奈川県を指定したので、受験会場は淵野辺の青山学院大学 相模原キャンパス。
(はあ、遠かった。)
きれいなキャンパスだった。建物の色がブラウンに統一され、
チャペルもかっこよく、モダンな雰囲気。

前回の受験時には、電車が止まって往生したので、
会場には11時半には着くようにした。

ベンチに座って持参したお弁当を食べ、
その辺で配っていたLECの直前チェックをチラチラ見ながら、
12時少し前に会場入りした。

6月の司法書士試験は一日がかりの試験時間だったが、
行政書士試験は午後の3時間で、少しはゆとりがあるかんじ。

受験生は圧倒的に学生が多い気がした。
法学部に入ったばかりでお試し受験という感じ。
行政書士になって開業しようと思っているのは、
おそらく女性の既婚者が多いのではないだろうか。
当然、私も合格しても登録はまだしないでおこう派である。
(どこかで変わる可能性もあるが)

席に着くと、
お隣の女性受験者がイヤな予感‥。
アラフォー世代って感じなのだが、とにかく熱心に参考書を読んでいる。
と、読んでいるだけなら、なんのことはないのだ。
なんと声に出して読んでいるのである。
そういう方は受験時も声に出して問題文を読んでしまう。

案の定、試験開始後、早速その女性は声に出して問題文を読み始めた。
声に出すと言っても、となり近所くらいにしか聴こえない小さな声。
とは言っても、気になりだしたら気になる。
2問目あたりに進んだところで、試験官に目配りした。
試験官も気がついたようだ。しかし、誰の声かはわからないみたい。

と、その後気がつくと、あら不思議、
突然気にならなくなった。

これが集中というものか。

結局彼女はずっと喋りっぱなしだったのだが、
気にならなくなったらもうどうでもいい、
不思議なものである。

帰り道は異様な人の多さに、
小田急線で帰るのをあきらめ、
相模線で帰ることにした。(ガラガラだった)
今頃、大磯駅も湘南国際マラソン終了でごった返しているだろうなと思いながら。

さて、試験の結果であるが、
模範解答が各予備校のHPにアップしてあるのだが、
今回は初めて、それらに目を通していない。

ほんのちょっぴりだが、出来が良かったような気がするのだ。
そうなると、採点をするのが怖くてたまらない。
いまのところ、自己採点できないでいる。
こんなことは初めて。
一般教養科目は昨日やった模擬試験と同じような問題がぞくぞくと登場。
LEC喜んでいるだろうな。
こんなこともあるのだ。

このまま採点せずに、司法書士試験勉強モードに戻ろうと思う。

2009年10月27日火曜日

鳩山首相の所信表明演説

10月26日

息子と昼食のあと、テレビをつけると、
どこもかしこものりぴーばかり‥。他に仕事ないんか?と思う。
NHKにチャンネルを合わせると、鳩山首相の所信表明演説が始まるところだった。
リアルタイムで見るのもめったにないこと。全部観ていた。

演説の途中、年間3万人を越える自殺者のことに触れた。
おおっ、と思いながら聞いていると、
『このことは私の第一の任務』と述べられたではないか!
よっしゃーっ、鳩山総理、聞いたぞ、この耳で!
どのような対策をされるのか、注視しますぞ!
第一の任務とおっしゃいましたね!!!

新聞やテレビ報道などは、所信表明演説のある一部分だけを取り出して、
そのことについて論評されているように思う。
しかし、第一の任務と言ったのは、どこの言葉にかけて言ったのか、
これは全文を読んでいただきたいなと思う。
そして、そのことをこれからの国会論戦のなかで、
どのように具体化していくというのか、
実際どのような成果としてあがったのか、
よく私たちは見て行かなければならない。



国会でのヤジは、話と話の間なら良いだろう。
話が聴こえないほどのヤジはみっともないだけ。
しかし、これだけは許される事ではない。
言っていいヤジと言ってはいけないヤジの区別もつかぬほど、
自民党は落ちぶれてしまったのか。
落ちぶれたというよりも、いつもそう思っているからとっさにその言葉がでる。
そういうものだ。
テレビで放送されなくても、twitterで情報発信する議員がいる。
もし、違うというのなら実名で弁解してはいかがか。


鳩山首相の所信表明演説。青森に遊説に行った際、息子が職に就けず自殺した年配の女性が、絶望の中で握手した手を離さなかったという話をされたのですが、自民党の議員から「そんなものどこにでもいるよ!」というヤジ。あまりに酷い。約17時間前 movatwitterで

GOGOdai5
参議院議員 松浦大悟





以下が全文です。長いけれど、国民に語りかけるように話し言葉で書かれているので、
読みやすいと思います。

全文

<1>はじめに

 あの暑い夏の総選挙の日から、すでに2カ月がたとうとしています。また、私が内閣総理大臣の指名を受け、民主党、社会民主党、国民新党の3党連立政策合意の下に、新たな内閣を発足させてから、40日がたとうとしています。

 総選挙において、国民の皆さまは政権交代を選択されました。これは日本に民主主義が定着してから、実質的に初めてのことです。

 長年続いた政治家と官僚のもたれ合いの関係、しがらみや既得権益によって機能しなくなった政治、年金や医療への心配、そして将来への不安など、「今の日本の政治をなんとかしてくれないと困る」という国民の声が、この政権交代をもたらしたのだと私は認識しております。その意味において、あの夏の総選挙の勝利者は国民一人ひとりです。その、一人ひとりの強い意思と熱い期待に応えるべく、私たちは「今こそ日本の歴史を変える」との意気込みで、国政の変革に取り組んでまいります。

 この間、私たちは、新しい政権づくり、新しい政治の枠組みづくりに必死に取り組んでまいりました。その過程において、国民の皆さまの変革への期待を感ずる一方、「本当に変革なんてできるのだろうか」という疑いや、「政治なんて変わらない」「政治が変わっても、自分たちの生活は変わらない」というあきらめの感情が、いまだ強く国民の中にあることを痛感させられました。

 ここまでの政治不信、国民の間に広がるあきらめの感情の責任は、必ずしも従来の与党だけにあったとは思っておりません。野党であった私たち自身も、自らの責任を自覚しながら問題の解決に取り組まなければならないと考えております。

 ここに集まられた議員の皆さん。

 私たちが全力を振り絞ってお互いに闘ったあの暑い夏の日々を思い出してください。皆さんが、全国の町や村、街頭や路地裏、山や海、学校や病院で、国民の皆さまから直接聞いた声を思い出してください。

 議員の皆さん、皆さんが受け止めた、国民一人ひとりの願いを、互いにかみしめ、しっかりと、一緒に、実現していこうではありませんか。政党や政治家のためではなく、選挙のためでももちろんなく、真に国民のためになる議論を、力の限り、この国会でぶつけ合っていこうではありませんか。

 変革の本番はまさにこれからです。今日を、その新たな出発の日としようではありませんか。

 (戦後行政の大掃除)

 私は、政治と行政に対する国民の信頼を回復するために、行政の無駄や因習を改め、まずは政治家が率先して汗をかくことが重要だと考えております。

 このために、鳩山内閣は、これまでの官僚依存の仕組みを排し、政治主導・国民主導の新しい政治へと180度転換させようとしています。各省庁における政策の決定は、官僚を介さず、大臣、副大臣、大臣政務官からなる「政務三役会議」が担うとともに、政府としての意思決定を内閣に一元化しました。また、事務次官等会議を廃止し、国民の審判を受けた政治家が自ら率先して政策の調整や決定を行うようにいたしました。重要な政策については、各閣僚委員会において徹底的に議論を重ねた上で結論を出すことにいたしました。

 この新たな体制の下、まず行うべきことは「戦後行政の大掃除」です。特に二つの面で、大きな変革を断行しなければなりません。

 ひとつめは「組織や事業の大掃除」です。

 私が主宰する行政刷新会議は、政府のすべての予算や事務・事業、さらには規制のあり方を見直していきます。税金の無駄遣いを徹底して排除するとともに、行政内部の密約や省庁間の覚書も世の中に明らかにしてまいります。すでに、本年度補正予算を見直した結果、約3兆円にも相当する不要不急の事業を停止させることができました。この3兆円は、国民の皆さまからお預かりした大事な予算として、国民の皆さまの生活を支援し、景気回復に役立つ使い道へと振り向けさせていただきます。

 今後も継続して、さらに徹底的に税金の無駄遣いを洗い出し、私たちから見て意味のわからない事業については、国民の皆さまに率直にその旨をお伝えすることによって、行政の奥深くまで入り込んだしがらみや既得権益を一掃してまいります。また、右肩上がりの成長期に作られた中央集権・護送船団方式の法制度を見直し、地域主権型の法制度へと抜本的に変えてまいります。加えて、国家公務員の天下りや渡りのあっせんについてもこれを全面的に禁止し、労働基本権のあり方を含めて、国家公務員制度の抜本的な改革を進めてまいります。情報面におきましても、行政情報の公開・提供を積極的に進め、国民と情報を共有するとともに、国民からの政策提案を募り、国民の参加によるオープンな政策決定を推進します。

 もうひとつの「大掃除」は、税金の使い道と予算の編成のあり方を徹底的に見直すことです。

 国民の利益の視点、さらには地球全体の利益の視点に立って、縦割り行政の垣根を排し、戦略的に税財政の骨格や経済運営の基本方針を立案していかなければなりません。私たちは、国民に見えるかたちで複数年度を視野に入れたトップダウン型の予算編成を行うとともに、個々の予算事業がどのような政策目標を掲げ、またそれがどのように達成されたのかが、納税者に十分に説明できるように事業を執行するよう、予算編成と執行のあり方を大きく改めてまいります。すでに、これまでは造ることを前提に考えられてきたダムや道路、空港や港などの大規模な公共事業について、国民にとって本当に必要なものかどうかを、もう一度見極めることからやり直すという発想に転換いたしました。今後もまた、私と菅(直人)副総理のもと、国家戦略室において財政のあり方を根本から見直し、「コンクリートから人へ」の理念に沿ったかたちで、硬直化した財政構造を転換してまいります。国民の暮らしを守るための財政のあるべき姿を明確にした上で、長く大きな視野に立った財政再建の道筋を検討してまいります。

 政治もまた、国民の信頼を取り戻さなければなりません。政治資金をめぐる国民の皆さまのご批判を真摯(しんし)に受け止め、政治家一人ひとりが襟を正し、透明性を確保することはもちろん、しがらみや既得権益といったものを根本から断ち切る政治を目指さなければなりません。私の政治資金の問題によって、政治への不信を持たれ、国民の皆さまにご迷惑をおかけしたことを、誠に申し訳なく思っております。今後、政治への信頼を取り戻せるよう、捜査に全面的に協力してまいります。

 <2>いのちを守り、国民生活を第一とした政治

 (友愛政治の原点)

 私もまた、この夏の選挙戦では、日本列島を北から南まで訪ね、多くの国民の皆さまの期待と悲痛な叫びを耳にしてきました。

 青森県に遊説に参った際、大勢の方々と握手させていただいた中で、私の手を離そうとしない、一人のおばあさんがいらっしゃいました。息子さんが職に就けず、自らのいのちを絶つしか道がなかった、その哀(かな)しみを、そのおばあさんは私に対して切々と訴えられたのです。毎年3万人以上の方々のいのちが、絶望の中で絶たれているのに、私も含め、政治にはその実感が乏しかったのではないか。おばあさんのその手の感触。その目の中の悲しみ。私には忘れることができませんし、断じて忘れてはならない。社会の中に自らのささやかな「居場所」すら見つけることができず、いのちを絶つ人が後を絶たない、しかも政治も行政もそのことに全く鈍感になっている、そのことの異常を正し、支え合いという日本の伝統を現代にふさわしいかたちで立て直すことが、私の第一の任務です。

 かつて、多くの政治家は、「政治は弱者のためにある」と断言してまいりました。大きな政府とか小さな政府とか申し上げるその前に、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない。そのことだけは、私の友愛政治の原点として、ここに宣言させていただきます。今回の選挙の結果は、このような「もっとも大切なこと」をおろそかにし続けてきた政治と行政に対する痛烈な批判であり、私どもはその声に謙虚に耳を傾け、真摯に取り組まなければならないと、決意を新たにしております。

 (国民のいのちと生活を守る政治)

 本当の意味での「国民主権」の国づくりをするために必要なのは、まず、何よりも、人のいのちを大切にし、国民の生活を守る政治です。

 かつて、高度経済成長の原動力となったのは、貧困から抜けだし、自らの生活や家族を守り、より安定した暮らしを実現したいという、国民の切実な思いでした。ところが、国民皆年金や国民皆保険の導入から約50年がたった今、生活の安心、そして将来への安心が再び大きく揺らいでいます。これを早急に正さなければなりません。

 年金については、今後2年間、「国家プロジェクト」として、年金記録問題について集中的な取り組みを行い、一日も早く国民の信頼を取り戻せるよう、最大限の努力を行ってまいります。そして、公平・透明で、かつ、将来にわたって安心できる新たな年金制度の創設に向けて、着実に取り組んでまいります。もとより、制度としての正確性を求めることは重要ですが、国民の生活様式の多様化に基づいた、柔軟性のある、ミスが起こってもそれを隠さずに改めていける、新しい時代の制度改革を目指します。

 医療、介護についても必死に取り組みます。新型インフルエンザ対策について万全の準備と対応を尽くすことはもちろん、財政のみの視点から医療費や介護費をひたすら抑制してきたこれまでの方針を転換し、質の高い医療・介護サービスを効率的かつ安定的に供給できる体制づくりに着手します。優れた人材を確保するとともに、地域医療や、救急、産科、小児科などの医療提供体制を再建していかなければなりません。高齢者の方々を年齢で差別する後期高齢者医療制度については、廃止に向けて新たな制度の検討を進めてまいります。

 子育てや教育は、もはや個人の問題ではなく、未来への投資として、社会全体が助け合い負担するという発想が必要です。人間らしい社会とは、本来、子どもやお年寄りなどの弱い立場の方々を社会全体で支え合うものであるはずです。子どもを産み育てることを経済的な理由であきらめることのない国、子育てや介護のために仕事をあきらめなくてもよい国、そして、すべての意志ある人が質の高い教育を受けられる国を目指していこうではありませんか。このために、財源をきちんと確保しながら、子ども手当の創設、高校の実質無償化、奨学金の大幅な拡充などを進めていきたいと思っております。

 さらに、生活保護の母子加算を年内に復活させるとともに、障害者自立支援法については早期の廃止に向け検討を進めます。また、職場や子育てなど、あらゆる面での男女共同参画を進め、すべての人々が偏見から解放され、分け隔てなく参加できる社会、先住民族であるアイヌの方々の歴史や文化を尊重するなど、多文化が共生し、誰もが尊厳をもって、生き生きと暮らせる社会を実現することが、私の進める友愛政治の目標となります。

 <3>「居場所と出番」のある社会、「支え合って生きていく日本」

 (人の笑顔がわがよろこび)

 先日、訪問させていただいたあるチョーク工場のお話を申し上げます。

 創業者である社長は、昭和34(1959)年の秋に、近所の養護学校の先生から頼まれて2人の卒業生を仮採用しました。毎日昼食のベルが鳴っても仕事をやめない2人に、女性工員たちは「彼女たちは私たちの娘みたいなもの。私たちが面倒みるから就職させてやってください」と懇願したそうです。そして、次の年も、また次の年も、養護学校からの採用が続きました。

 ある年、とある会でお寺のご住職が、その社長の隣に座られました。

 社長はご住職に質問しました。

 「文字も数も読めない子どもたちです。施設にいた方がきっと幸せなのに、なぜ満員電車に揺られながら毎日遅れもせずに来て、一生懸命働くのでしょう?」

 ご住職はこうおっしゃったそうです。

 「ものやお金があれば幸せだと思いますか」。続いて、

 「人間の究極の幸せは四つです。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られるのです」

 「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」、これは社長の実体験を踏まえた感想です。

 このチョーク工場は、従業員のうち7割が「障がい」という「試練」を与えられた、いわば「チャレンジド」の方々によって構成されていますが、粉の飛びにくい、いわゆるダストレスチョークでは、全国的に有名なリーディングカンパニーになっているそうです。障がいを持った方たちも、あるいは高齢者も、難病の患者さんも、人間は、人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せを感じるということを、この逸話は物語っているのではないでしょうか。

 私が尊敬するアインシュタイン博士も、次のように述べています。

 「人は他人のために存在する。何よりもまず、その人の笑顔や喜びがそのまま自分の幸せである人たちのために。そして、共感という絆(きずな)で結ばれている無数にいる見知らぬ人たちのために」

 (地域の「絆」)

 ここ10年余り、日本の地域は急速に疲弊しつつあります。経済的な意味での疲弊や格差の拡大だけでなく、これまで日本の社会を支えてきた地域の「絆」が、今やずたずたに切り裂かれつつあるのです。しかし、昔を懐かしんでいるだけでは地域社会を再生することはできません。

 かつての「誰もが誰もを知っている」という地縁・血縁型の地域共同体は、もはや失われつつあります。そこで、次に私たちが目指すべきは、単純に昔ながらの共同体に戻るのではない、新しい共同体のあり方です。スポーツや芸術文化活動、子育て、介護などのボランティア活動、環境保護運動、地域防災、そしてインターネットでのつながりなどを活用して、「誰かが誰かを知っている」という信頼の市民ネットワークを編みなおすことです。

 「あのおじいさんは、一見偏屈そうだけど、ボランティアになると笑顔がすてきなんだ」とか「あのブラジル人は、無口だけど、ホントはやさしくて子どもにサッカー教えるのもうまいんだよ」とかいった、それぞれの価値を共有することでつながっていく、新しい「絆」をつくりたいと考えています。

 幸い、現在、全国各地で、子育て、介護、教育、街づくりなど、自分たちに身近な問題をまずは自分たちの手で解決してみようという動きが、市民やNPOなどを中心に広がっています。子育ての不安を抱えて孤独になりがちな親たちを応援するために、地域で親子教室を開催し、本音で話せる「居場所」を提供している方々もいらっしゃいます。また、こうした活動を通じて支えられた親たちの中には、逆に、支援する側として活動に参加し、自らの経験を生かした新たな「出番」を見いだす方々もいらっしゃいます。

 (「新しい公共」)

 働くこと、生活の糧を得ることは容易なことではありません。しかし、同時に、働くことによって人を支え、人の役に立つことは、人間にとって大きな喜びとなります。

 私が目指したいのは、人と人が支え合い、役に立ち合う「新しい公共」の概念です。「新しい公共」とは、人を支えるという役割を、「官」と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です。

 国民生活の現場において、実は政治の役割は、それほど大きくないのかもしれません。政治ができることは、市民の皆さんやNPOが活発な活動を始めたときに、それを邪魔するような余分な規制、役所の仕事と予算を増やすためだけの規制を取り払うことだけかもしれません。しかし、そうやって市民やNPOの活動を側面から支援していくことこそが、21世紀の政治の役割だと私は考えています。

 新たな国づくりは、決して誰かに与えられるものではありません。政治や行政が予算を増やしさえすれば、すべての問題が解決するというものでもありません。国民一人ひとりが「自立と共生」の理念をはぐくみ発展させてこそ、社会の「絆」を再生し、人と人との信頼関係を取り戻すことができるのです。

 私は、国、地方、そして国民が一体となり、すべての人々が互いの存在をかけがえのないものだと感じあえる日本を実現するために、また、一人ひとりが「居場所と出番」を見いだすことのできる「支え合って生きていく日本」を実現するために、その先頭に立って、全力で取り組んでまいります。